ベガとパイロンとイングリッド

 ストリートファイターの世界は「つながっていない」という事で、JAMとベガとかを。

ZERO3でベガは滅びたはずでは?

 ZERO3で滅びたはずなのにIIに登場する。これは「つながってない」からで済ませてしまうにはさすがにキツいのですよ。
 大まかなエピソードは確かに存在しているわけで。
 まあ、でもそんな難しい話でなくて、「新しいボディ」使ってるだけだわな、IIのは。体格も違うし。
 そうでなければ「ベガ」本体は滅んでいて、そのコピーが暴れてるだけか。

 ZEROの頃のベガがサイコパワー絶好調だったらしいので、あのボディはサイコパワー満ち溢れていた。IIのボディは馴染んでないのか、才能が無いのか「ベガワープ」も「サイコショット」も使えない。サイコクラッシャーも大幅弱体化(ゲーム上は強いですけど)。IIベガもストII以外の作品ではサイコパワー使いまくってますが、まあそれは別の話という事で。

そもそもベガは何者なのか?

 まずはII´での公式ストーリーを読んでいただくとして。
 この時点では、ベガはごくごく普通の人間。でも、この時点っていつよ?サンダーホークのスパII公式ストーリー読む限りでは30年以上前に一族の聖地を奪い、子供の頃のホークと出会っているようで。
 ZEROより遥か以前にもうシャドルーが存在していて、そこで…おそらくは当時から総帥として。

 サイコパワーを飛ばす技云々という事で、新声社「波動拳の謎」においてもベガの師とリュウ・ケンの師は同一人物であろうと言っていたわけですが…ベガの長生きっぷりとリュウ・ケンの師=ゴウケンが死亡したのは初代ストリートファイターの頃という事で、これは無し。ゴウケンの師ゴウテツを殺害したのはゴウキなので、やっぱり関係無し。公式ストーリーを書いた時点ではサイコパワーを飛ばす技を身に着けた2人というのはリュウ・ケンのつもりだたんでしょうが…。
 では、「伝説の暗殺拳」と「サイコパワー」が関係ないのかというと…。
 ダブルアッパーのイングリッドストーリーではサイコドライブを求めて辿りついた先に殺意のリュウがいたり、リュウをその状態にしたのがどうやらサイコドライブっぽかったり…。ベガ自身も

さ…殺意の波動は…サイコパワーと同質ではないのか?このベガを受け入れないとは

 と、サイコパワーと殺意の波動が同質のものだと思っていたようです。それが故に「ボディ」としてリュウを求めていた節があり…(ゴウキは若くないからダメ?)。

 ZEROでの公式ストーリーにおいても、伝説の暗殺拳の伝承者にかなり興味を抱いてます。
 つまり、ベガは「波動拳」を使う「伝説の暗殺拳」はサイコパワーを飛ばす技を身に着けた兄弟子が築き上げたモノだと思っていたのでは。そうだとすれば、伝説の暗殺拳よりも先に生まれているベガの年齢は……。クローン技術とか普通に考えて「有り得ない」時代に生まれてるような。
 結局…謎の人物のままですな、まだ。

目的は?

 上昇志向が強すぎるらしいんで、ただただ強さを求めているだけに見えます。
 世界征服は「好きなこと」であって、目的ではなく趣味に近い代物。自分の力、自分が築き上げたシャドルーの力を試すのにちょうどよいのが世界征服みたいな。
 勝ち続けて満足する事もなければ、「負けた」らそれで納得するわけでもなく…永遠に満足する事なく、渇き続けている不死の男。
 そのウチ、天国へ行く方法とか見つけるんじゃないですか?
 シャドルー、ベガの存在はギルの組織とギルに取ってはどうという事もなく、ギルの計画通りに動かされてただけかもしれないってぐらいに「取るに足らない」存在との事ですが、実際のとこ、その更に上にベガがいるような気も。総統倒したら上に天帝がいたー!みたいなユリアンと同じで、ベガの掌で踊らされているんではないですかねぇ?…その方が生きていく上で面白いから。

二重人格の可能性

 ベガとローズは根本的に同一人物(魂を共有している)だという事がZERO3のローズエンディングで示されています。

 ベガはローズの師としてローズに精神力を物理的な力(or物質)に変換するという「ソウルパワー」を仕込んだ上で…。

いつか必ず、お前は戦いの場へと足を向けることになる。……忘れるな、『ソウルパワー』はお前にとって、強力な武器でもあり、克服できない弱点でもあるのだ……

 と。代替ボディとしてローズを用意したのであれば………その後、対峙する事となった時に。

ほう……ソウルパワーの使い手がまだいたとはな

 などと言い出す事自体が不可解。キャミィにしてもそーですが、何故に魂の入っていない人形としないのか、魂を込めたのであれば、何故に従順な性格に育てないのか?
 貴方、もしかして滅びを望んでませんか?
 ベガと同じ魂を持っていても、ローズのような正義である人物となり、コピーであるキャミィにしても真実を知り悩む…ということはベガは生まれつき…根っからの悪ではない。
 邪魔な正義の部分であるローズを切り離したとも考えられますが、それであればローズを鍛える必要も無い。

その長い人生の中で

 色々と経験が少ない。

カプコンファイティングJAM

 ベガの同類というか、する事無くてヒマでヒマで仕方無い、宇宙人「パイロン」が、時間と空間ねじ曲げて5つの世界をくっつけてしまった事で起きた戦い。
 目的を持って闘っているのはヒマつぶししてるラスボスの「パイロン」と、1つになってしまった世界を元の5つの世界に戻すべく闘っている「イングリッド」の2人だけ。
 ストリートファイターシリーズがパラレル世界だというだけでなく、JAMによりヴァンパイア、ウォーザード…そしてCVSまでもが平行世界として存在している事が示されたわけです。

パイロンとは?

 ヴァンパイアとヴァンパイアハンターのラスボスとして君臨する謎の宇宙人。
 基本的に不老不死で、する事が無いので星のコレクションをしてます。まあ、趣味の話はどうでもいい事で…。

 2億年以上生きているらしいのに、生まれたのは1991年。ヴァンパイアの他のキャラの生まれた年を見るにヴァンパイアシリーズが遥か未来の話というわけでもないらしい。
 かつては「生まれて2億年以上経過してるけど、高速で飛び回っているから実年齢は1桁」というのを何か勘違いして「1991年」にしてしまった。つまり「相対性理論」をとんでもなく誤解してしまった結果かと思っていたのですが…。

パイロンとイングリッド

 イングリッド嬢の登場により、本当に1991年に生まれて、そして実際に2億年以上生きてるっぽい事が何と無くわかってきました。
 イングリッド…JAMでは世界を修復するのみでしたが、ZERO3ダブルアッパーにて、どうやら時間を超える能力があるらしい事が判明。

 イングリッド戦でパイロンが勝利した場合。

しゃしゃり出てくるような理由が 君にあるとは思えんのだがな

 イングリッドが勝利した場合。

ガックシじゃよ 真剣マジ失望じゃ!

 ………知り合い?JAMのプロローグで語られる「彼」はその性質を考えるにおそらくは「パイロン」のこと。

「彼」は永久に等しい命と無限の力を持ち、それを持て余す存在。これから起こる異変も彼にしてみれば余興であり、ただの暇潰しに過ぎない。

様々な意思が渦巻く中で、彼はそっと、自らの欲望を満たす者を待つ。私を楽しませてくれ。君達と同じ姿で戯れよう。何なら二人がかりでも構わんよ

 これでパイロンの事で無かったら詐欺だ。一方のイングリッドは「彼女」と語られる存在だと思われます。

「彼女」は立ち上がった。彼女が誰なのか。何故、世界を元に戻そうとするのか。自らの意思なのか、何者かの遣いなのか。答えは誰にもわからない。いや、おそらく「彼」は、すべてを知っているのだろう。

 「彼」「彼女」と語られ、この両者は対等であるかのよう。明らかにパイロンだと思われる「私を楽しませてくれ」の部分では…カギカッコ無しの【彼】であり、JAMの戦いを引きこした存在は【「彼」】となっているのは気になるところではありますが…まあ、おそらくはパイロンでしょう、やっぱり。
 とすると、2億年も生きているだけあり、パイロンはイングリッドが何者なのかを知っている。でも…プロローグで語られているように「すべて」は知らないようで、「しゃしゃり出てくる理由があるとは思えない」とイングリッドが参戦してきた理由をわからずにいます。
 あまりにも違う「彼」と「彼女」ですが、有している力は「同質」っぽいですな。イングリッドもまた時間は「売る程」に余っているようなので。
 イングリッドの必殺技名は全て太陽…「サン」を冠していますが、パイロンもまた太陽「ソル」を冠する「ソルスマッシャー」を持っています。まあ、パイロンは1つだけだけど。

 イングリッドの正体を知っているらしいパイロンにもわからない、イングリッドが出てきた理由。
 どうやら世界を元に戻すのは使命というわけではないらしい。

イングリッドは何者なのか?

 JAMでの闘いは彼女をよく知る者であっても、何故参戦しているのかよくわからないようですが…。JAMでの対イングリッドの勝利メッセージを見てみると、パイロン以外にもイングリッドの事を知っている方が数人。

貴様…何を考えている あちらの世界では物足りぬというのか

…なるほど…確かにここは次元の歪む場所 君が現れるのも必然というわけか

 上段がデミトリ、下段がジェダ。ヴァンパイアキャラに集中してイングリッドを知る者がいます。
 そして、パイロン同様にデミトリにもイングリッドが参戦してる理由が掴めておらず、ジェダだけが理解して…るのかどうか。

 パイロンやイングリッド同様に長い時を生きているっぽいベガはどうなのか?

ソウルパワーとも違うその力…何だ…?

 やっぱり知らなかった。ZERO3では

貴様が誰かなどどうでもいい

 と、大物キャラでありながら1人だけ正体知らなかったからなのか、もうスネちゃってます。一方のイングリッドはというと…。
 ZERO3ではベガは「要注意リスト」とやらでその存在を知ってましたが、名前と大まかな容姿程度しか知らなかったようです。その挙句に

おぬしは不要なのじゃ、世の中的に

 存在否定。どうも1つ上の次元から見るとベガはかなりの小物らしい。ZERO3で突如登場した不思議装置「サイコドライブ」も元々はイングリッドの所有物だったようで、ZERO3参戦の理由は「サイコドライブを取り返しにきた」と。そして「本来の仕事」があるという事も語られてます。でも、JAMのもヴァンプキャラの台詞を見るに本来の仕事ではないらしい。
 サイコドライブを取り戻したイングリッドは201×年に「本来の仕事」っぽい事をしに旅立ちますが、そこで待っているのはリュウらしい。…さっぱりわからん。殺意の波動に目覚めたリュウが暴れているとかそんな事では無く、何かもっと大きな何か。

 イングリッドは時間を超えて「何か」をしている。それは決して世界の平穏だとか、「正義」の仕事ではない。

パイロンとジェダ

 イングリッドの事はとりあえず後にして、再びパイロンを。
 パイロンは1991年に生まれながら、地球の恐竜種族を絶滅させた機械人形「フォボス」を製作している。フォボスの役目は「生命の抹殺」。
 ヴァンパイアシリーズに登場するパイロンの仕業なのか、ヴァンパイアシリーズ後の未来のパイロンの仕業なのか?これは家庭用セイヴァーで答えが出ました。
 パイロンが自らフォボスの「創造主」を名乗りましたんで。まあ、ハンター時代のパイロンとセイヴァー時代のパイロンとの間にパイロンの中で、どれだけの時が過ぎて、何をしてきたのかは謎なんですが。
 暇潰しの為に強い相手を求めていたパイロンが何故に過去に遡って地球の生命の抹殺を企むのか?何故にフォボスに任せ自身は姿を消してしまったのか?

 そしてジェダ。魔王クラスの純魔族。滅びゆく魔界の未来を憂いて全ての生命を原初の存在…1つの魂へとまとめるという何か人類補完計画?みたいな事をやりだした人ですが、魔次元なる異世界を作り出しちゃってます、その為に。
 世界を作る力を持ち、その世界にパイロンをも引き込み1つの魂へと導いちゃいます。
 成功したかに見えた魔界救済というか補完計画というか…もう1つの次元「人間界」の「あの女」の存在により不完全に終わる事に。

あの女

 セイヴァー当時は「アニタ」と言われてましたし、家庭用セイヴァーでドノヴァンでストーリーを進めると「彼女を連れてきてくれた事に礼を言う」と。「あの女=アニタ」であるかのような台詞も出てきてます。
 が、しかし、セイヴァー当時のアニタはまだ子供。
 ただ難しい事に、魔次元自体がJAM世界同様に時を超越した「次元」にある(転生後のレイレイがいる事だとか)ようで、子供のアニタは時を越えて魔次元の夢を見ていて、大人アニタはジェダとは関係無く、ドノヴァンを救う為に戦ってるっぽいのがダークストーカーズコレクションのディーエンディングにて何となく。
 ハンターエンディングで登場した大人アニタの服装がローズだったので、アニタ=ローズ説なんてものもあったり。超能力とソウルパワー…ちょっと違うけど。平行世界におけるローズと捉える事は出来なくもない。

 まあ、アニタはアニタとしてイングリッドが登場した今となっては「あの女=イングリッド」の可能性も出てきているわけですよ。イングリッドが人間界の住人かどうかはともかくとして。さすがにアニタ=イングリッドは無いでしょうが。

再びパイロンとイングリッド

 時間が平気で交差してる彼らにとって過去も未来も無い。
 私の中ではパイロンがフォボスを作った理由だとか、パイロンとイングリッドの関係だとか、JAMにイングリッドが参戦した理由だとか「設定」は出来上がってしまってますが、まー明らかに違うと思いますし、そもそも「答え」なんてカプコンも用意してないのではないかなーと思うので「勝手に各人で考えてくれ」という事で今回のラスボス達のお話は終わりにします。
 まあ、でも一応言うと、ベガとジェダがイングリッドを知ってる理由はただ単に長生きしてるからと、その程度にしか考えてません。……ついでなんで更に言っちゃいます。JAMの参戦理由はもうごくごく単純に「パイロンを倒す」事で「世界を元に戻す」のは「ついで」。イングリッドのエンディング見る限りは世界を元に戻す為に戦っていたのはわかりますが…いやまあ、だから「明らかに違うと思う」ので書かないわけですよ、私の中の脳内設定は。

最後にベガ

 長い事生きてるっぽいのに、イングリッドの事をZERO3まで知らずに生きてきたベガ様。
 ここで最初の謎である、ZERO3で滅んだのに何でIIで普通に生きているのか?と。
 ここで重要と思えるのが、いくらなんでもそこまで言われなくてもという、あのイングリッドの台詞、そう…。

おぬしは不要なのじゃ、世の中的に

 です。正しい歴史の流れにおいてZERO3ベガは「いてはいけない」存在…カプコン的に。つまりは、ZERO3からIIは全然ストーリーつながってませんよーという宣言の繰り返し。
 ZERO3の場合、ベガの存在だけでなく、もう何ていうかIIどころかZEROの設定を覆しかねない状態ですし。ダブルアッパーになるとユンまでいるし。
 ZERO3からIIは厳密なつながりがないとかでなくて、天下一剣客伝と同じく、それ単体で完結したお話なのだと。
 イングリッドはカプコンからの使者なのだよ!…いずれどの次元も騒々しくなるとかJAM各作品の続編を意識させる台詞もありますし(まあ、どれもこれも続編なんざ出ないでしょうが)。

 も・ち・ろ・ん…そんな意図のわかりにくい勝利メッセージを出してもしょーがないんで、そーんな意味は無くて…「長生きしすぎ、とっととくたばれ」だとか、それか「お前はニセモノだから消えろ」とか…まあ、そんな感じで受け取っておくと良いか。
 とりあえず、イングリッドにはまるで相手にされていないという事で、妙な科学技術とサイコパワーは持ってるけど「割と普通の人間」、それがベガ。