バオー来訪者

 50分。荒木飛呂彦先生の名作のアニメ化作品。
 50分でまとめられるわけもなく、多くのエピソードがカットされ、特殊能力等の説明もさっぱりされないという問題作。原作ファンだけが見て下さいという前提で作ったのだろうか?
 こんなのどうでもいいだろッ!って部分をわざわざ描いて、重要な部分をカットする。駄作ではないんですが、かなり微妙。
 バオーは水中(というより呼吸出来ない状況)では活動を停止するという、「基本設定」さえ語られていない為、エンディングで何故、育朗が水の中で寝ているのか…というより、何故にバオーが目覚めたのかさえよくわからないというスゴイ事になってます。  その他、「ドレス」とは何か?とかスミレが何故、ドレスを脱走したのかとか、そもそもスミレの能力がどういうものなのかが語られない。

橋沢 育朗(CV:堀秀行)

 一応主人公。前半はスミレが主役に近く出番はあまり無し、後半はバオーが暴れている為、やっぱりほとんど出番は無し。主人公じゃないのかも。
 バオーの六感の多くは「におい」で感知するという設定をこのOVAでは語っていない為、育朗が「ヘンな人」にも思えます。
「感じる、スミレのにおいを感じる」

スミレ(CV:日高のり子)

 ヒロイン…というより主人公なのかも、原作コミックの時から既に。
 自動書記等の超能力を持つ…今の荒木先生には描けないであろう美少女。作画が安定しておらず、時々ヒドく不細工になるのはどうなのか?とりあえず髪の色に驚きました。最初誰かと思ったし。
 六助じいさんが登場しないので、どうやって生活していくのか謎。最後に成長した姿で登場するものの、作画がヒドすぎてかなり微妙でした。
 育朗と幸せに暮らして欲しいものです。
「育朗の齢……当ててみようか?……17……あたしと大して変わらないね、あたし9つだもの」

ノッツォ(CV:?)

 ドレスに創造されたリスのような生物。魔法少女のマスコットキャラ的役割。
 作中、一切何の説明も無い為、原作を知らないと「このリスみたいな生物は何?」で終わってしまうと思います。
 ノッツォ必要だったのかな?削っても何の問題も無かったのでは?全く活躍してませんし

霞の目博士(CV:永井一郎)

 DVD付属のキャラ解説に「霧の目」と書かれてしまった不遇な頭長い人。秘密組織「ドレス」に所属する科学者でバオーの生みの親。
 悪の秘密結社のマッドサイエンティストという「そのまんま」の役割。
 現実として「悪」ですが、善悪を超越した位置にいた人だと思います。結構カリスマ。死に方自体は格好良くはないものの、死に際しての感情は実に格好良い。
「何て事だ、バオーを目覚めさせてしまった。バオーを目覚めさせる事は核爆発させる事と同じだぞ」

ソフィーヌ(CV:井上瑤)

 霞の目博士の秘書らしき人物。ドレスでのスミレの教育係。原作よりも随分と目立っていた感じ。最後の最後まで霞の目博士と共にあり、一緒に死亡。霞の目博士と違って、きっと無念だったと思います。一言も残せずに死んじゃった事もそうですが、バオーなんて彼女にはどうでもよかったでしょうし。
「さあ、スミレちゃん、お散歩はここまで。客車に戻りましょう、おやつの時間よ」

第22の男(CV:?)

 名前も無ければキャストも不明な可哀想な「人型バオーの最初の犠牲者」。
 ドルドが育朗抹殺に送り込んだ人物であっさり育朗を殺すものの、とっとと死体を焼却せずにだらだらやってたので反撃喰らってしまうという。この人がとっとと育朗の死体燃やしてたら話はすぐに終わってたはず。
「フッ、骨まで灰にか。念のいったものだな…小僧」

ドルド中佐(CV:池田秀一)

 ドレスの特殊工作員。中佐って一体?
 第22の男の失敗を知り、自ら乗り出しました。バオーの攻撃を受けて顔が…やっぱり何の説明も無い為、何故、体がメカ化されてるのかは原作を知らないとわかりません。
「追って来いバオー。この娘が助けを求める匂いを嗅いで犬のように追って来い」

ウォーケン(CV:屋良有作)

 ドレスが抱える最強の超能力者。バオーを「来訪者」と呼んだ唯一のキャラ。この人がそれを言ってくれなかったら「何が来訪者なんだ?」でしたな。
 バオーと互角に戦った恐るべき戦士。力をセーブするアイテムがバンダナに変更されてます。まあいいけど、別に。
「よぉぉこそ来訪者。私はウォーケン、殺害こそ生き甲斐の戦士」