鎌鼬の夜編の犯人

 魔女審問編と違って犯人は確定。

 全員にアリバイがあって、どうやら殺害装置を使っての殺人っぽい。それが可能だったのは、雪乃、池谷、黒井の3人。凶器は高いとこにあったけど、これについての情報がほぼ無いので、「誰でもとれた」と考えていい。背が低い人には無理とかはNG。

 殺害場所は男湯。雪乃が風呂の準備が出来たといい、まず池谷が行き、「寒くて話にならない。温度計がマイナス20度になっていた」「照明が壊れていて真っ暗で何も見えなかった」と帰ってくる。それを聞いて黒井が行き、余裕で入浴して帰ってくる。

 自動殺害装置の準備の為には真っ暗では話にならない。最初に照明が壊れていたと発言したのが池谷なので、黒井は白。問題は池谷が行った時点で照明が壊れていたのか、池谷が壊したのかだが、真っ暗で何も見えなかったはずなのに温度計の温度確認出来ているという、このアホな発言により、池谷が証明を壊した=池谷が犯人である事は確定。一般的なミステリ小説だとこんな単純ではないけど、真かまいたちは推理の為の材料少ないし、「単純どころかおかしな点が大量にある」作品なんで、深く考えるだけ無駄。作者が考えてる事を考えるしかない。その場合、池谷となる。

 鏡1枚1枚に「鎌」「鼬」「の」と書いたのは、唯一、鏡として機能しそうな「の」の位置に座らせるため、「鎌」と「鼬」は文字が複雑すぎて鏡として使えない。全部の鏡がその調子なら無理してでもその状態でも使うだろうけど、空白の多い「の」があるなら、普通はそこを使う。

 装置は「の」の鏡の上にのみある窓。ここから何故か最初は本来見えるはずの「鼬の火」が見えなくて、殺害犯行後には見えるようになっていた。火が消える事は有り得ない事は序盤に証言されていて、吹雪で消えたのであれば、殺害後にも消えたままのはず。吹雪で警察も出られないほどなんだから。つまり、火は消えていなかったのに見えなかった。窓に何か置いてあった。置いてあったものが「凶器」ですな。凍らせたタオルで落ちないようにして、「の」の鏡のとこのシャワーを使うと熱で凍ったタオルが溶けて、凶器が落ちてくる。…上手くいくわけねぇだろ、こんないい加減なもの。うーん、回答編見るか。自動殺害の方法は謎だけど、犯人は間違ってないはず。

 うん、これはヒドい。書いた通りの「自動殺害装置」だ、有り得ないだろ。うん、そしてヒドい。「背の低い雪乃には凶器は届かなかった」>「棒使えばいいじゃん」>「針金邪魔だから無理」。無理じゃねぇよ。雪乃は従業員なんだから、一見強固に固定されるように見えて実は大地震でも起きない限り落ちてこない程度の緩い固定にして、簡単に取れるようにしておいたかもしれない。…そんな事をする意味が無いんだが、その「意味が無い」事をしてるのが真かまいたちなんで、このシナリオでだけそれを持ちこむのはダメだろう。「意味が無いけど、物理的には可能だった。だから犯人」が成り立つ。まあ、それでもやっぱり池谷でしか有り得ないのは確かなんだが。これはヒドい。探偵役が素人なんて、探偵役の推理は無理だらけ、それは良い。けど、その無理だらけのまま終わるのは良く無い。男湯で作業できるのは男だけ。そんな事は無ぇよ、男だって作業出来ねぇよ、見られたら言い訳出来ない。

 凶器を持ちだす時に針金をほどかないといけないのは池谷だって同じ。背が高かろうが低かろうがそんなのは関係無い。時間かかるだろ、そんなの。もちろん、見られたところで大した問題は無いんですが、何でそんな事をしないといけなかったのか。これが「意味が無い」行為。回答編見ないと絶対わからない殺害理由は今まで全く語られてもいなかった「10年以上も昔からの憎悪」。それで殺そうと決意したなら、何でペンションに飾られていた「鎌」なんて選ぶんだ。鎌を持ち出した時点では「どうやって殺すか考えてもいなかった」状況で、手に入れた後に「男湯、超寒いです、ごめんなさい」を聞いてトリックを思いついた。殺害方法を決めていなかったなら、普通、調理場から包丁かナイフ持ち出すんじゃあないか?凶器があったのはラウンジの高い壁。その時、ラウンジには寝てる人間が1人。…何でそんな無理をした?

 そして、寒いわ暗いわの状況で、普通は鏡を使おうと考える人間なんていない。被害者はその状況でも使うであろう事は、彼の妻から話を聞いたプレイヤーにはわかる。が、その話が出るのは、既に池谷が装置を仕掛けた後。つまり、池谷は15年ぶりに逢ったんだったか?そんな人物の風呂に入った時の習性を何故か把握していたって事になる。無差別でも何でもなく、被害者を狙ったものなので。その情報を知り得る機会は無かった。15年前、子供の頃か?借金取りのヤクザだろ?その怖いおじさんが子供に「おじさん、風呂に入るとヒゲをね、ヒゲを整えないと気が済まないタチなんだ」とか語ったのか?語ったとして、それを真に受けて「もしかしたら他の人が犠牲になるかもしれない」装置仕掛けたってのか?

 そもそも、一体どこに凶器を隠し持って風呂場に持ち込んだのか。風呂からすぐに帰ってきたけど、あんな短い時間で「タオルを凍らせて」とか面倒なトリック仕掛けたのか。「鎌」「鼬」「の」とか書いた塗料は何だったのか?ペンション内にそんなもんがあったのか?都合よく。凶器を持ちだす時に見られても、言い訳は出来る。けど、風呂場で「こんなんで人殺せるかよ」ってトリック仕掛けている時に人に見られたらどうするつもりだったのか。あの時点で風呂場に誰も来ないなんて確証は全く無かった、というか「料理まだなんで風呂にでも」とオーナーが勧めた場面なんで、むしろ池谷しか行かなかった事が異常事態なんですよね。後、照明はどうやって壊した。物理的に破壊でもしたのか?それは音が出る。ラウンジを出て、多分自室に隠していた凶器を持ち出し、運良く、何故か塗料を10秒とかからず見つける事が出来、風呂場に行き、タオルを凍らせ、窓に殺害装置セット。鎌鼬の夜と塗料で書く。温度計を確認する。照明を壊す。…作業早ぇぇぇぇ。

 温度計の発言さえ無ければ、雪乃を犯人とした方がかなり自然な展開になるな。暗闇でも目が慣れれば「鎌」「鼬」の文字が見える程度だったという事は頑張れば温度計は見える。問題は池谷氏自身が暗くて何も見えなかったのですぐに帰ってきたという発言してる事だなー。ただ、この温度計発言は回答編では一切触れられてないんで、作者の意図とは異なる「犯人の証拠」の可能性が高い。となると、もう雪乃としか考えられんわけですが?凶器の選択が謎だけど、それは池谷でも同じ事なんで。ホント、何でラウンジに飾ってあるものを盗んだのやら。盗む事が可能なタイミングにおいてもアリバイが作ってあるとかなら話も違うけど。普通にアリバイ無かったみたいだし。