ロックは本当にギースの息子なのかと疑問を投げかけてみる

 何故か、ギースの技を使う。何故か、ハワード姓。かなり怪しいロック君。ギースの息子という設定を信じるから違和感があるのだと気づいた。これはSNKの陰謀。おそらく、MOW2ではロックはギースの息子なんかじゃなかったという事がエンディングで明かされたに違いない。「侍零」並にロクでもない「小学生」レベルのアイデアだが。
 まあ、しかし…実際、考察してみると、どうにも本当に疑わしいのである。MOWスタッフがてきとーやっただけなのはわかってはいるが。

ハワード姓について

 ロックの母「マリア」とギースは結婚をしていない=籍を入れていないそうである。これは公式設定である。にも関わらず、何故ロックは「嫌いな」父親の姓を名乗っているのか。
 まず、ハワード姓云々以前に、ロックはテリーの養子なのではないか?だとするならば、ボガード姓なのではないだろうか?が、これは定職を持たないテリーの事、正式に養子として引き取る事が認められるわけもなく、また認められたとしても、テリー自身…ロックを息子に迎えるつもりも無いだろう。つまり、テリーとロックは、ジェフとテリーのような親子関係ではないわけだ。ちなみに、今回の考察において、この事実は全くどうでもいい要素である。ただ単に何故にボガード姓ではないのかを証明しただけで。

 さて、ボガード姓で無いのは当然だとわかった。だが、ハワード姓なのは何故か?たとえ、正式な養子でなくとも、嫌いな父親よりはテリーと同じボガード姓を名乗ってもよさそうなものである。戸籍上はどうあれ(ジョジョの奇妙な冒険のディオはそのプライドによりジョースターはあくまでも利用するだけという意思表示なのかブランドー姓を捨てなかったように、ロックはその逆にハワード姓を捨ててしまってもいいわけである)姓無しの、ただの「ロック」か「ロック=ボガード」を名乗る方が自然ではないだろうか?
 にも関わらずハワード姓を使う。これは母であるマリアが「マリア=ハワード」…ハワード姓であった事を意味するかと思われる。父は嫌いでも母は愛しているようだから。
 しかし、籍を入れてもいないのに、ハワード姓を名乗るというのはどういう事なのか?

 答えはマリアは元からハワード姓であったという事。マリアの弟であるカインはハインライン姓を名乗ってはいるが、彼も養子としてドン=パパスに引き取られた身。カインの元ネタとなっている人物からして元々は「ミューゼル」姓だったものが、「ローエングラム」姓へと変わっているのだから、カインも最初から「ハインライン」姓だったと考えるのは間違いであり、パパスに引き取られた時か、パパスの後継者となった時、それに相応しい姓を与えられたと考えるべきであろう。カインも元は「ハワード」姓だったのである。

息子の証明

 本考察において大事なのはロックがギースの息子だというのは「本人がそう名乗っている」だけという事にある。
 ギース本人、そしてギースコネクション(ハワードコネクション)の人間がそれを認めている描写は一切無い。
 カインの場合、若い頃から裏世界に身を置いていたので「ギースの息子」の噂ぐらいは聞いた事があるかもしれない。が、その噂が事実なのか、そしてどこから流れたものなのかは実に微妙なのだ。
 公式ストーリーに重病の母を助けて欲しいとロックがギースタワーへ赴き、ギースと対面したとある。そして、ギースはロックを追い返した、と。
 追い返すのであれば会う必要すら無い。おそらくは…幼いロックはギースタワーの前でわめいたのである。自分はギースの息子である、と。ギースタワーはコネクションの人間が警備を固めているだろうが、子供がわめくのを止める事が出来るものだろうか?というより、「妙な事をわめいている」から取り押さえ…そして仕方なくギースが対面し、追い返した、とこんなところであろう。
 だが、噂になるには充分といえる。ここから裏世界に「ギースの息子」の噂が流れた可能性がある。

 少し話がそれるが、この事件をギース側から見てみよう。誰だかもわからない子供がとんでもない事を口走りわめいている。相手をする気も起きない。
 ギースという男、決して冷酷でも残酷でも卑怯でもない。ジェフは己の格闘術でその命を奪い、KOFに参加してきたボガードの息子も気絶させておきながら目覚めるのを待ち、誰もいない場で1対1の決闘を行っているのだ。自分にとって役には立たない存在でありながらもビリーの妹であるリリィにも優しく接している。ギースは親しい人間に冷たくする事も無ければ、礼儀をかいた事をする人間でもない。自分の息子だからと甘い態度で出る事は考えにくいが、だからといって、危険な街「サウスタウン」に子供1人で…しかもギースタワーにまで乗り込んできた「息子」を追い返すとも思えないのだ。
 餓狼3において、「あの子供がかつてのテリーのように自分に歯向かってくるのではないか」とギースは心配しているが、心配するぐらいであれば最初から冷酷な対応をとる必要は無い。つまり、ロック…謎の子供は本当にギースとは無関係であり「母を自分に殺されたと逆恨み」してるであろう事を心配しているのであろう。この時、ギースはロックの事を「ヤツ」と呼んでおり、これも到底「自分の息子」の呼称とは言えないものである。

 ギースは父を恨んでいる。母を捨てた父を。
 だからこそ、息子…ロックに自分の姿を重ね、己の力のみでのし上がってきた自分の息子であれば、親の力などに頼るな!という態度をとったという可能性もあるのだが…自分と同じ苦しみを息子に味あわせるような性格の悪い男とは思えないのだが…。

何故、ギースの息子だと思い込んでいるのか?

 ハワード姓だからだろうか?そんなわけはない。いくら何でもそれでは妄想狂のただのバカだ。ロックを見る限り、そうは見えない。
 これは単純に母…マリアからそう聞かされたからであろう。
 ヒントは侍魂の幻十郎にある。

 母親は幻十郎に、
「お前の父親はお城のお殿様よ。幻十郎、お前はわたしの誇りだよ」
 と言ったかと思うと、
「お前など生まれて来なければよかった。お前は罪人の子さ。人殺しの子さ。どこかへいっちまいな」
 などと言う。

 幻十郎の母親は気がおかしくなっている。ロックの母マリアにも同じ事が言えたのではないだろうか?
 カインが言うにはマリアは生きているらしい。そして「久しぶりに姉上に会いたくてな……そう……あの頃の姉上に……」などとも言っている。「あの頃の姉上」?…生きているが、会う事は出来ないに等しい。つまり、まともな状態ではないという事ではないだろうか?
 それがいつからかはわからない。が、マリアが煩った病気は「謎の重病」との事。少しづつ蝕まれていき、「ハワード」姓である自分がギースの妻であると、信じ込んでいってしまったのではないか?
 あまりにもヒドい考察という事で、もう1つ用意してみた。ヒントはキン肉マンのスーパーフェニックスだ。
 貧しい暮らしの我が子を不憫に思い「お前は王家の人間だったのかも」などと言ってしまったフェニックスシズ子。それを都合良く解釈してしまったスーパーフェニックスというかフェニックスマン。これをマリアとロックに当てはめてもいい。
 いや、だってさ…自分の元で暮らさせなくても、送金ぐらいはするでしょ、普通。それさえ無かったっぽいのを考えると…マリアがロックにウソを教えたとしか思えないわけですよ。そして、それを更に信じてしまったおバカな弟、カイン…という。

暗黒の血疑惑

 ロックは自らの血を「暗黒の血」などとほざいています。暗黒の血が騒ぐだとか。
 果たして、この「暗黒の血」とはなんなんでしょうか?
 ギースの事?いや、違うでしょう。彼は普通の人間です。「暗黒街の支配者」と呼ばれたり、弟が「暗黒の帝王」だったりもしましたが、弟も含め…普通の人間です。
 となれば、暗黒の血とは「母方」の方。背中から羽根のごときオーラを出したりする血です。

 叔父であるカインは得体の知れない「暗黒真空拳」の使い手。明らかに「普通の人間」ではありません。ロックとお揃いの独特の瞳の色をしてますし、グラントを倒し、叔父との戦いを控え「暗黒の血が騒いだ」事を考えても…暗黒の血=マリア、カインの血筋であるのは間違いないかと思われます。
 ところが、にも関わらずロック自身はこれを「父」…ギースの影響と思い込んでいるようで。死んだ後に「人外」扱いされてます、ギース=ハワード。

ギースの技を使えるのは何故?

 公式回答が「血」。ギースの血統だから同じ技を使える。…そんなわけあるかーーー。ギースの父親…ルドルフの技をギースは使えたのか?まさか!!…ヴォルフガング坊ちゃんも同じ事。
 息子だから同じ技を使えるなどというのは既に人間ではない。暗黒の血なロックではありますが。
 そもそもが、使えたとして…ロックはギースを嫌っています。
 似たような境遇にあった「鉄拳」の「風間仁」はどうしたか?父…三島一族の使う「三島流喧嘩空手」を綺麗さっぱり捨て去りました。いくら何でも完全に捨てるなんて無理だろって感じですが、捨て去りました。
 ところが、ロックは「何か知らないけど使えるから」という理由で嫌いな父親の使う技を使うのですか?そして使っては「暗黒の血が」とかわめいてるんですか?かなりおかしな話です。
 そもそもが、ロックの使うギースの技は「烈風拳」「ダブル烈風拳」「真空投げ」「雷光回し蹴り」「邪影拳(ハードエッジ)」「レイジングストーム」「デッドリーレイブ」と…テリーが知っている技ばかりです。血で同じ技を使えるというなら「飛翔日輪斬」「エクスプロージョンボール」のどちらか、または両方使えても良さそうなものですが、対空は飛翔日輪斬の代わりにライジングタックル。

 この技構成が全てを証明しています。面倒を見てやる事にしたお子様が自分はギースの息子だと名乗っている。
 格闘家として憎しみを超えて「お互いに尊敬しあっていた」節さえあるテリーとギース。偉大なる格闘家ギースに経緯を表し、そして廃れる事のないように、彼の息子に自分が知っているギースの技を教え込んだ…こう考えた方が極めて自然です。テリーを尊敬しているのにテリーの技はほとんど使わない…これは教えて貰えなかった&ギースの技を使えと言われているという事なのではないでしょうか?

ギースの遺産

 ロックにならギースの遺書の意味がわかるかもしれない、とロックを引き込んだカインですが…。
 もし、ロックに可能性があるのであればギースコネクション(ハワードコネクション)がとっくに動いていると思われます。
 にも関わらず今まで接触が無かった(もしかしたらしてたのかもしれませんけどね…)のは、ギース本人が生前…というかロック押しかけ事件の時にはっきりと「無関係」だと聞いていたからではないのか、と。「ギース様ぁ、ホントは息子なんじゃないですかぁ」とか、和気藹々と仲良くビリーとリッパーとホッパーとギースの4人でロックの事話してたんすよ、きっと。

 遺書の事が無かったにしても、ギースの息子をギースの死後、ギースコネクション(ハワードコネクション)が放置しておくものなのか。それこそ遺書か生前の命令があったのかもしれないんですが…。「ガンダムW」ではトレーズの娘というだけで「レディ=アン」はマリーメイアに優しく接してましたし、「ハワード」ではなく、あくまでも「ギース」に忠誠を誓っていた、彼らもギースの息子に何ら反応を示さないというのはヘンではないかなと。
 ちなみに、ギースの遺産についてですが…遺書が理解不能なのに何で「遺産」ってなるんですかね?もしかしたら、テリーとかクラウザーへの悪口とか…読まれたくないけど、書かずにはいられなかったような代物かもしれないじゃないですか。
 そして、遺書とは関係ないですけど、結局、ビリーが燃やさなかったみたいですし、普通に「秦の秘伝書」がギースの遺産として存在してると思います。秦一族以外に役に立たないっていうのは「ウソ」なんで、手に入れれば何かと役に立つと思いますよ、秘伝書。