KOFアニメの感想

 実質、初のKOFアニメだった「The King of Fighters:Another Day」の感想なんかを。
 結論だけ言うと「微妙」。5段階評価でいうと3って感じで。
 「娯楽」性というものを考えずに作っているようで、「見ていて面白い。先が楽しみ」な作品ではない。というよりはストーリーが存在していないに等しいので「アニメ絵で動くKOFキャラを観賞する作品」といった感じ。
 MIをよく研究して、かなり頑張って作られている作品だとは思います。原作のキャラ設定がどうだのとそんな「アニメとしてはどうでもいい部分」にどうこう言わなければ「良作」の部類。…面白くはないけど。
 後はゲームオリジナルキャストを使うと痛い事になるというのがはっきりと。誰なのか敢えて言ってしまうと…。
「不知火舞」「ビリー カーン」「アッシュ クリムゾン」
 他も一部怪しいとこありますが、この3人は「アニメ」無理ですねー。アッシュはわざとやってるのか?とも思ったりもしましたが、そうじゃないなーと。

 ゲームと同じ「技」を使うのを喜ぶ人もいるみたいですが「同じ」であれば、好きなだけゲームで見ればいいわけで(そもそもがアニメで見て栄えるかどうか…)、「アニメだからこそ出来る表現」というものが少し欠けていたのではないかなーと?
 私からすれば「どうでもいい部分」…背景だとかにはかなり力を入れてたみたいですが、それをアニメだからこそ出来る要素と言っていいのかどうかは。映像美にはあまり興味無いもので。

 とりあえずコンセプトというか作った目的が何だったのか?MI2の宣伝であれば、もう少しMI世界に特化した作りでも良かったような気はします。
 結局、このアニメの世界は
 SNK作品の集合体世界である「KOF世界」と、そのアナザーである「KOFMI世界」の両方が入り混じったという、アナザーのアナザーという何だかよくわからない…「XI後」と「MI後」の時間と世界が交錯した世界の物語。
 そのコンセプト自体は「KOFアニメ」世界として悪くは無いと思うんですが、事前に説明が無く、「混ぜた結果」何かが生まれたわけでもないという。
 事前に説明が無いのでMI世界にアッシュが関わるのか?と勘違いしてしまいそうな作りだったのは問題だったと思います。
 MIとMI2の間の話なのかと思えば、どうやらMIシリーズのストーリーとは全く関係が無いらしい。最初からそれを説明しないと…詐欺に近いと思うんですが。

 というわけで各話。サウスタウンを舞台にした歴代KOF主人公達の物語という主旨のようで、

第1話「オロチ編:八神庵」「MI:ソワレ メイラ」「サイコソルジャー:麻宮 アテナ」
第2話「餓狼伝説:テリー ボガード」「MOW:ロック ハワード」
第3話「ネスツ編:K´&マキシマ」「怒:ラルフ ジョーンズ&クラーク スティル」
第4話「オロチ編:草薙京&八神庵」「アッシュ編:アッシュ クリムゾン」「MI:アルバ メイラ」

 と、KOFじゃない作品の主人公まで混ざってる中、サウスタウンが舞台だというのに龍虎が無視されるという面白い事態に至ってたり。
 シナリオ上、主人公だけでは成り立たないので餓狼からビリー、MIからリアンなんかも出てますが、必要性が全く感じられない舞がいたり…誰の趣味でそうなってしまったのか。
 MI2特典のDVDでのオーディオコメンタリーというか解説を聞くと、とても丁寧に作って貰えていたのがわかります。ところどころ…特に第1話では面白い発言が結構出てしまってますが、それはそれとして聞いた上で見ると不思議と評価が少し上がりました、私の中で。

ALL OUT

 期待された第1話。MI宣伝の為か、ソワレ兄弟が大活躍。
 アッシュに八尺瓊の力(XIではオロチの力とされてますが)を奪われ炎が使えない八神庵のバトルが…意外と違和感無く動いてました。炎無くてもあんまし関係無いですね、庵。

 ストーリーは炎に包まれたサウスタウン。人命救助の為に動くソワレ兄弟と…そんなものを意に介さずアッシュを探す庵。そして何故かいるアテナと舞。遠くで光る「翠の光」。炎の演出はキレイでした。いや、火事をキレイと言っちゃいけないんでしょうけど。
 サウスタウン焼き討ちの犯人は「アッシュ」だと示す演出なのか?
 最後にこれもまた新たな戦いのプロローグに過ぎなかったと「MI2」につながるかのような事を書いてますが…実際全然つながってません。庵は普通に炎使えるしな。サウスタウン焼き討ち事件なんて起きてないし、多分MI世界で。

逃げ惑う人々の中に何故か不知火舞

 何故にサウスタウンに舞がいるのか?…アンディ探しですか?
 火事で逃げ惑う人々を見て「ぼーっ」としてる演出は何なのか?そして服を脱ぎ捨てていつもの衣装に。…必要あったのかどーか、不知火舞。

車の中に何故か麻宮アテナ

 何故にサウスタウンにアテナがいるのか?…仕事?
 何故か制服姿なんですが…。監督の言葉によれば。

「アテナも最初、コスチュームをどうしようかっちゅうの相談してて、まっ、あのぉいつも着てるのがステージ衣装らしいんですよね。あれで行くのはいけないと言うんで、学校の制服で…で、髪の毛はあのぉ1Pキャラクタの髪の毛なんで」

「いつも着てるコスチューム」ってのが何なのかがまずわからない。そしてサウスタウンにいる理由が仕事だとするとステージ衣装以上に「制服」である意味がわからない。
 SNKプレイモア社は資料として「MI」しか渡さなかったんでしょうね、これって。結局、アニメで出てくるアテナの服装はMIの2Pアテナ。MI世界のアテナはあの制服を使ってると仮定したとして、サウスタウンの学校に通ってるとは到底思えないのですが……。
 ゲームの設定云々以前に誰か「制服はおかしーっすよ」とかツッコミを入れなかったのか?そして、いつものコスチュームが1Pアテナの事であれば、それは=98アテナ。ステージ衣装じゃー無いと思うぞ。誰だ、監督にガセネタ叩きこんだのは?それとも2003アテナのアレがいつものコスチューム…なのか?
 ………もうちょっとキャラに関する資料渡しましょうよ、プレイモアさん!!

女の子をはねのける八神庵

 アッシュしか目に入ってない余裕の無い庵クン。
 そもそも、庵の普段の姿はいまいちわからない。印象としては一般人に迷惑はかけないって感じがあるので違和感はありましたが、普段の姿がわからない。そもそもが、アッシュの事しか目に入ってないってのもありますし。

サイコリフレクターで頭上を守るアテナ

 ゲームではありえない「技の使い方」。こーいうのはアニメだからこその部分ですし、いいんじゃないかなーと思います。実際にリフレクターかどうかは知りませんが。

わざわざ扇子を取り出してから龍炎舞を放つ舞

 ほとんどの人が意味がわからなかったであろう演出。しかも火事の現場で龍炎舞。
 監督達が言うには。

「ここのあの扇子取り出すとこなんですけど、龍炎舞なのに…ボクの方で間違ってたんですよねぇ。あーの扇子使ってこうやる技」
「龍炎舞の火が扇子から出てると橘さん(=監督)が勘違いしてた」

 間違うのもどうかと思うが、間違ったと気づいたなら修正しましょうよ…。MIで見てるとわかりにくいって事ですか?ポリゴンモデルだから。
 いやね、アテナでもそうなんですけど…まずは本編のドット絵の方も見てから作りましょうよ!!一目瞭然だから、どんな技なのか。

「あそこで火事が起きてんのに何で龍炎舞なんだ?てのもあったんですけどね。もう脱出する為にもうぶっ壊しちゃおうっていう勢いで…多分そういうキャラだと。キャラ的に多分そういうキャラだという判断で」

 何で龍炎舞を使ったのか>多分そーいうキャラだから。…多分でやるなーーー。
 別に龍炎舞使ってもいーけど、多分とか言わない方がいいから。黙ってた方がファンの反感買わないから…。
 小夜千鳥だとどーだったんでしょうか?破壊に使えそうだし、折角、扇子取り出したわけだし。

可愛すぎる子猫

 第1話で最も話題になったのではないかと思われる可愛い2匹の子猫。…良すぎ。いい仕事しますね。
 監督自身の仕事のようです。…監督ーー、ネコがいい仕事なのは認めますが、舞とかアテナの下調べを先に……。

ACCEDE

 ビリーがロックを殺そうとする話。
 独自の世界を築いてます。餓狼ファンにはその内容に耐えられなかった人もいたようですが…。

RBエンディングの再現

 でも、相手はギースじゃなくてロック。何を意味したいのかはよくわかんないです。
 テリーの帽子の文字に迷ったそうですが…。
 餓狼伝説では基本的に「KING OF FIGHTERS」、KOFでは「FATAL FURY」だったよーな気がします。調べて言ってるわけではないので違うかもしれませんが。
 今回のアニメでは「FATAL FURY」。まー、どーでもいーです。
 RBを過去の話として描くので今回のこの話ではMOWテリーがデフォルト。もちろん、MI2にはつながりません(というかこの話に関しては本気でまったくつながりませんね、どことも)。

ギースタワー:ギースステージで戦うビリーとリアン

 ビリーの三節棍の表現が秀逸でした。何でビリーがリアンに狙われるのか。ビリーは一体何をしているのか?第1話の舞とアテナの存在そのものと同じく、何の説明も無いのが難点。
 もし、ビリーがサウスタウンにずーっと居座っていたんであれば、メフィストフェレスなんてものの台頭許してないと思うんですよね。…ギースタワーが存在している以上はハワードコネクションは健在っぽいですし、どういう設定なんでしょうか?
 メフィストフェレスの台頭を許すような組織を今更潰しにかかっても……。

ギースの後をロックと共に継ごうとするビリー

 サウスタウンがあの御方のものだと認識していながら、ギースの息子じゃないと言い張る人間を後継に据えようとするのは結構謎。
 後継者になるつもりが無いとわかったらあっさり殺そうとする辺りステキです。ロックの死体が殺し屋の死体と一緒に転がってるってのはギースの名を貶める事にならないんかな?
 つうかなんで今更なんですかね?…サウスタウンに舞い戻ってきたばっかりと仮定しておこー。
 それまでのハワードコネクションはもはや存在しているだけに過ぎなくて、そこに「メフィストフェレス壊滅」を知ったビリーが「好機」とでも考えたのか帰ってきた。邪魔に思ったのでリアンを派遣した、と。
 ビリーは自身がナンバー1ではない事はわかっているので、とりあえずロックに声かけてみた>やっぱり断られた。こんな感じっすかね?
 まあ、なんつうか格好悪いな、ビリー。

で、ビリーは?

 ギースタワーから落下しかけて腕一本でロックに支えられるリアン。2人まとめて突き落とそうとするビリー。
 そして、リアンが反撃のアサルトタイプγ。直撃を受けたビリーは…?
 γの衝撃でロックがリアンの腕を放してもおかしくない状況っていうか、ロックもダメージ受けてそーなもんだが。
 ビリーのすぐ傍にいたロックとリアンは無傷で無事。ギースタワーが倒壊したわけでもない。…ビリーはどこに?
 直撃して溶けたのか?即死?

IN THE DARK

 怒チームとK´チームの対決っていう話。明らかに他の3話よりも出来がいい。
 監督の「クラークと誰でしたっけ?」発言はステキすぎる。…彼にはしゃべらせちゃいけないような気がする。まあ、昔1回やっただけのしかも10分にも満たないアニメのキャラの名前なんていちいち覚えちゃいないかもしれませんが、そりゃ。
 というより他3話とリンクしてないというか…サウスタウンの火事は怒チームにとってもK´チームにとってもどーでもいい。
 サウスタウンの火事はアッシュではなくクローン京の仕業なのか?という疑問が増える一話。

サウスタウン事件を見守るハイデルン部隊

 たかが1つの街の火事にハイデルン隊長もご苦労な事だ、全く。事前に何か情報でも捕まえてたのか?
 マキシマの話によればサウスタウンに潜伏してると思われるクローン京を捜索してるとの事ですが…クローン京だって自我があるなら目立ちたくないんで、炎の力使わないでしょうし、既に無害な存在な気はします。ネスツがクローン京を使って何かたくらんでるのであれば話は別ですが。

クラークの関節技を外すマキシマ

 改造人間だからこそ可能な。アニメだからこそ可能な演出の1つですね。

ウィップの出番

 怒チームとK´チームメンバーで唯一、MIに登場してないキャラだけあって台詞も無く…ただいただけという素晴らしい扱い。まー、ハイデルン隊長も同じだしな。
 無表情で何を考えているのかはさっぱりわからない。
 何げにMI2クーラのデザインにダメ出しをする監督が良かった。多分、監督の感覚が一般的です。クーラは大人じゃない、確かに。
 監督が見たのはMI2公式ガイド184ページのcolorAですかね?だとすると、そのデザインを参考にしなくて本当に良かったと思います。…怖すぎだから、あんなの動かされても。

ALL OVER

 第1話「ALL OUT」の直接の続編。京と庵とアッシュとアルバと…なかなかに豪華。アルバとアッシュという対決は見てみたかった気がします。

通行人の中に何げにまぎれている草薙京

 映画撮影のエキストラさんみたいな扱いですね。初登場が通行人。サウスタウンに何の用があるのかはやっぱり不明。

そしてそのすぐ近く、道路の真ん中に立つアッシュ

 誰か注意しろよ。翠の炎はゲームと違って美しい。草薙を追ってサウスタウンに?

どーやらやっぱり犯人らしいアッシュ

 あからさまに原作とキャラ性が違う「悪」なアッシュ。これなら「悪人」呼ばわりされても当然。ゲームのは全然悪ではない。
 草薙京を挑発する為にやったのだとすると…ちと許しがたい。人をなめてる感じがステキなアッシュですが、無差別大量殺戮に近い放火行為をするアッシュはステキじゃない。
 MI世界にアッシュが出てくると、こーなるんですかね?それはそれで面白いとは思いますが…。
 後は声優さんには悪いと思いますが、本作の中で一番演技が痛いのがアッシュでした。必殺技とかの声だけ聞いてる分には問題無いんですが、演技させるとこんな事になるんだとがっかり。

炎を使うというだけで京を犯人扱いするアルバ

 まあ待て、それは無茶苦茶失礼だろ!その短絡思考もどうかと思うし。
 「言い訳は出来ねぇな」とか言い出してアルバと闘う京もどうかと思うぞ。多分、翠の炎使うやつが犯人だから一緒に探そうよ♪って。「言い訳」しなくていいから「真実」を言え「真実」を。
 バカが2人いると、とんでもない事件に発展するという例。上から見てるアッシュはさぞや楽しかろう。
 何げにルイーゼが出てきてますが、既に「MI」シリーズとの接点がほとんど無く…MI2の宣伝にはなってないんで、むしろ余計な要素だったよーな。いや、入れろって言われたんだろーけど。
 現場(=IG)サイドと原作者(=SNKプレイモア)サイドとの連絡がかなりいい加減な状態で作られちゃった作品という気がとっても。というよりはほぼ丸投げだけど、余計な口出しはするって感じだったか。

消えるアッシュ

 瞬間移動能力を持ってるんですね、きっと。

闘い続ける京とアルバ

 炎を使うな、草薙!!
 戦いを止めたのが庵という辺り…庵のキャラ性がいまいちわからない。第1話だと子供に暴力振るう余裕の無さ見せてたのに、最終話だと草薙相手に冷静に…。

エリザベートと一緒にいるアッシュ

 アレ?この2人の関係は知らないけど、XIの後って事は完璧に決別した後なんじゃ?
 アニメの製作時期からいって、XIのストーリーの外枠が決まった段階でシナリオ組んで…。本来、エリザベートはアッシュ側につく予定だった?
 アッシュの爪の模様が1つ1つ全て違うという芸の細かさが光ってます。こーいう辺り凄いんですけどね、この作品は。

生きてたビリー

 溶けてはいなかったよーだ。

またネコ

 第1話ほどには可愛くない。

最後にそれは無いだろ

 気持ち悪いルイーゼで終わり。それにしてもルイーゼのデザインはアニメで見ると実に気色悪い。アニメ栄えしないキャラだ。