PS版超人学園ゴウカイザー

 ネオジオ版の時点で「発売日遅れまくり」。ブライダーの超必殺技のコマンドがゲーメスト誌上で何度も間違われる(訂正記事でも更に間違ったコマンドを掲載という…)。
 ネオジオCD版でも「ボスキャラを対人戦モードで出現させたらその状態をセーブ可能」などという誤報が平気でゲーム雑誌上で。もう最初からボロボロなのですよ、ゴウカイザーというのは。
 で、ゲームの出来自体はびみょー。悪くはないけど、良くも無い。対戦して面白いゲームではないみたいな。ガード中の相手を投げれてしまったり、あまりにも対戦バランスが悪かったり…そうでなくても「面白い面」が無いんですが、まあ。

 ただ、アニメ版餓狼伝説やダンクーガのあの「大張監督」の作品という事で、ストーリー設定やキャラは決して悪いものではなく、メディアミックス「プロジェクトG」開始。
 電撃CD文庫でのCDドラマから始まり、設定を大幅変更した新たなCDドラマ、CDドラマの世界観を引き継いだOVA、OVAのコミック化などなど。
 その中には第1話で打ち切られてしまったシャイアを主人公にしたコミックや、第3話辺りで打ち切られてしまったかりんを主人公にした小説などもあったり…ゴウカイザーには常に問題がつきまといます。

 そんなメディアミックス展開の中で柱ともいえたのがPS移植版のゴウカイザー。
 「CDドラマ」「PS版」「OVA」の全てを買い揃えると何かプレゼントみたいな企画を起こします。が、PS版がいつまで経っても発売されず、本来最後になるはずだったOVAがリリースされ、完結してしまいます。…そして、キャンペーンの応募締め切りが過ぎて…まだ発売されませんでした。
 あのキャンペーンは無効になったのか締め切りが延びたのか私は知りません。全部買ったんですけど、PS版に何の説明も無かったんで、まあキャンペーン自体「無かった事にされた」のかなと。結構詐欺っぽいですが、モンスターメーカー闇の竜騎士よりは多分マシです。

 さてさて、そーんな「キャンペーン潰し」をしてしまったPS版ゴウカイザーですが…発売日が延期され続けたゲームだけはありスゴイ事になってました。「開発者が逃げちゃって」困って…しばらく放置して、キャンペーンの中核だし、しょうがないからと開発途中のものを発売したんだろーなーという、まあ、これを考えると全部買ったらみたいなキャンペーンは一応やったのかもしれませんね、無かった事にしたのであれば多分PS版自体発売中止だったでしょーし。移植を担当したアーバンプラント社も既に無いようで…。
 PSに対戦格闘を移植するのはキツいとはいえ…これは無いだろという。餓狼3とか豪2も移植度が低いとか話題になりますが、移植度とかそーいう話ではないのですよ、ゴウカイザーの場合。同じくアーバンプラントがPSに移植したというネオジオ対戦格闘のダブドラもスゴイ出来だったよーですが。

ロードが遅い何をそんなに読んでいるんだろう?と思えるぐらいに遅いです、ネオジオCD以下。それでいて1キャラ辺りの容量はすごい少ないっぽいんですよね…ゲーム内容見る限り。謎です。
通常技が少ないPSの性能だとネオジオの移植は辛いんでしょうが、それにしたって少なかったです。
必殺技も少ない各キャラ2、3個までに減らされてます。技名が微妙に違ったり、全然別の技になってるキャラもいます。筋斗雲なくて髪の毛の分身使えなくて、伸びない如意棒使う、斉天大聖かりんちゃんは何かを間違ってると思います。
ボイスも少ない当時の対戦格闘の中では多い方だったんですが…当然、かなり減らされました。
勝ちポーズが1つネオジオ版では最低1人2つはありました。その1つも簡略化されている人もいたり。まあ、この辺りは豪2なんかも同じですし、ゲーム性に影響しない箇所なんで削っても仕方ない部分。
カクカクしてるKOF’94を下回るカクカクっぷりです。PSの性能だと…という以前の話。モーションカットしすぎて、ストリップファイターみたいな事になってます。
キャラが小さいネオジオそのままでは無理だったのでしょう、多分。これだけ色々とカットして、それでも読み込みは長い。何を読んでいるんですかね?
のけぞらない何ていえばいいのか…。攻撃当たっても、喰らい硬直が無いみたいな。どう表現したものか…プレイすればわかるとしか。
効果音がヘンそれはどーでもいーだろって類の部分ですけどね
判定がヘンそもそもが、のけぞりがヘンだったりするんで、当たり判定がヘンでも仕方無いというか
キャンセル技は無し?2D対戦格闘の基本ともなっている「キャンセル」ですが、多分PS版にはありません。あっても、かかってるのかどうかわかりませんが。カクカクしてるし。
必殺技トレース無し必殺技を減らした以上、当たり前。一応はゴウカイザーのウリだったんですが、無理なもんは無理。
同キャラ対戦無し2Pカラーを用意出来ないぐらいに容量不足だったんですよ、きっと。ネオジオCD版だと4色あったけど。
コマンドが難しいいわゆる波動拳コマンドでさえも入りにくいのですよ。調整不足すぎ。
歌いませんネオジオ版では歌いませんが、ネオジオCD版ではほぼ全ステージで歌ってます、豪血寺みたいに。でも、PS版は歌いません。CD音源…つまり生音使ってるのに。っつうか生音入れたら容量足りなくなりませんか?
エンディング無いです無いです。ザマスでさえ下手な絵なエンディングあったというのに。ストーリー重視のキャラゲーなゴウカイザーだけどエンディング無し。ダメだー。容量不足ですか?
妙な対人戦モード最初に選んだキャラから変更出来ない&1対戦ごとにGAMEOVERになる。CONTINUEすると同じキャラで対戦開始、同じキャラなのに…また読み直しているようで長いロードが。だったらキャラ変更させましょうよ……対人戦自体する気起きないゲームですけど、そりゃ。ちなみにCONTINUEしないとタイトル画面に戻ります。…ネオジオ版餓狼SPの対戦モードみたい(とはいえ、あれはMVS版を軽く改造しただけなので仕方ないと思うのですよ)。
マニュアルにウソが書いてあります必殺技を減らし、システムも変更したというのにネオジオ版マニュアルのキャラ紹介をそのまま流用しているので「PS版では不可能」な事が平気で書かれてます。3匹の式神をとか言われても、PS版の京介は式神使役出来ないし。
オプションは当然充実していない時間制限を無限に出来ない、ボタンの割り振りが出来ない。それでいて効果がよくわからない「ON/OFF」がある。色々と調べれば効果もわかるんでしょうが、そこまでしたくない。というかマニュアルに書いて下さい。何のON/OFFなのやら。
ボタン設定がヘンザマスよりマシですが、ザマスはボタン割り振り可能。総合的にザマス以下。4ボタンの四角配列の場合、通常は上段が弱、下段が強攻撃。ところがこの作品では逆になってます。
投げがヘンマニュアルにコマンド書いてないんですが「→+K同時押し」という「不可思議なコマンド」でした。そして「グラフィックが存在しません」。全キャラ同じ投げなスーパービックリマンを上回る「投げモーション無し」の通常投げ。相手がいきなり宙を舞います。
挑発はありますマニュアルにコマンド書いてないんですが「4ボタン同時押し」という「コマンド」でした。通常技よりもモーション多いように感じちゃいました。というかこれこそ削ってもいい部分じゃないですか。削ってあったら、とーぜん「挑発も無い」とかってリストにあげてたでしょうけど。
オープニングアニメはOVAからOVAから切り取って切り取ってツギハギな。

 かようにかなり神がかった作品です。しかし、この作品のステキっぷりは今は亡き公式サイトでのコメントにありました。
 既に無いですし、保存もしてないんですが、当時「転載は出来ないけど」と、「こんな事言ってました」みたいな雑記を書いているので、そこから再録。

PS版オリジナルであり、緊張感漂う格闘も楽しめる。ファンでなくても2度おいしくて、いわゆるVer1.5といっても過言ではないと確信してる

 PS版オリジナルというのは真実。それ以外は…ネオジオ版のスタッフが聞いたら怒りそうな発言ですなー。「格闘も楽しめる」ではなくて、対戦格闘なんですよね、これ?メインに楽しむのは何なんですか、このゲームは一体?
 とりあえず確信するのは勝手ですが、PS版ゴウカイザーはゲームにさえなってないので1.5とか有り得ないと思いますよ?
 というより「1.5になったらいいなという作る前の理想」を書いただけなのでは、これは。

裏モードとして観戦モードを用意。プログラムにより何重にもチェックしてるから2度と同じ対戦は起きないけど、間合いのはかり方、必殺技の使い方、超必殺技なんかが攻略ビデオを見る感覚で楽しめる

 観戦モードとか言われてもです。デモ画面とかで流れてたりするのをメインに据えただけ?ついでに言うと「何重にもチェックしてるわけがない」。していたとしたら「そんなとこに無駄な時間を割くな」です。そもそも何をチェックするんでしょうかね?メモリカードに「今まで流れた観戦試合のデータを全部収録」。ゴウカイザーだけでメモリカード1枚フルに!読み込み長そーだな。1試合観戦するごとに読み込み時間が長くなっていく。
 まあ、ツッコミどころはそーではなく、頭の悪いCPUキャラを自由気ままに動かすだけで「攻略ビデオ」は無いと思います。

観戦モードは乱入できるからプレイヤーも参加できて、新しい世界が楽しめる

 いや……それは…もう観戦じゃないっていうか、普通のゲームなんですけど。ただのCPU戦?観戦モード起動した事ないから実際どういうものなのか知りませんが。

楽しさ、おもしろさが倍増! 遊び易さを追求したPS版対戦格闘ゲーム!

 PS版のキャッチコピー。必殺技減ってますし、CPU戦の難易度もかなり落ちてるので遊びやすいと言えない事もない。
 特徴が無く、面白みの無いゲームだった事を思えば、ここまでネタになるという事で面白くなったともいえる。
 「断言しよう!このゲームに並ぶ格闘ゲームは無い!」 とパッケージ裏にかました彼もまさかファイティングアイズを下回るゲームが有り得るなどと思いもしなかった事でしょう。というかファイティングアイズの場合、製作側は至って真面目…天然に創ってしまったものだという事実が判明してますしねぇ。