ちづる戦前デモ
 「おめでとうございます。素晴らしい試合でしたわ。」
 「あなたは?」
 「初めまして。今大会を主催させて頂いた者です。けど、残念ですわ。あのルガールを倒した程の方々ですもの。その実力の程、とくと拝見できるかと思いましたのに・・・」
 「ルガール!?」
 「なぜ、その事を!?」
 「とはいえ、あのルガールの最後は自滅したも同然。幸運が重なっての勝利ともいえない事はない。」
 「何?」
 「い、一体!?」
 「私の名は神楽ちづる・・・護りし者・・・。」
 「護りし者・・・!?」
神楽「あなた達の本当の力が見たいわ。トーナメントで見せたのが精一杯の実力というのなら話は別だけど・・・」

ゲーニッツ戦前デモ
 「なぜ、ルガールの事を!?」
神楽「ルガールが手に入れようとして出来なかった力・・・オロチの力。封じられし、その闇の力を私は護ってきた。」
 「それをルガールが解放した?」
神楽「違うわ。ルガールは解放された力を横から奪い取っただけ。彼もそれが元で自らの破滅を招くとは思ってなかったでしょうね。」
 「それと、今大会の主催。そしてあなたと闘った事とどういう関係が?」
神楽「不完全とはいえ、オロチのパワーを身につけたルガールをあなた達は倒したわ。その実力を見る為にトーナメントを開いた。予想通り、あなた達は優勝を飾ったわ。後は私自身の力であなた達を試す必要があった。」
 「何の為に?」
神楽「解放されたオロチの力を再び封じるのに、あなた達の力を借してほしいのよ。残された時間はもうないわ。気配でわかるの。もうそこまで来ている・・・。」
 「来ている?」
神楽「そう・・・・・。ルガールの右目を奪い、封じられていたオロチを解放した男・・・。」
 「ルガールの右目を!?」
 「何!?風が!?」
 「うわあー!」
 「どうなった・・・?」
 「大丈夫!?」
神楽「無理な頼みというのは分かっているわ。だけどあなた達ならできるかもしれない。だから、お願い・・・。」
 「さすがですね。これ位ではどうという事はありませんか・・・」
 「誰?」
 「はじめまして。ゲーニッツと申します。事の次第は拝見させて頂きました。しかし、無駄です。あなた方には何もできません。特別に選択肢を差し上げましょう。もっとも、闘わずして死ぬか、闘って死ぬかのどちらかですが・・・・」
 「どちらでもない!闘って勝つ!」
ゲーニッツ「フッ、愚かな事です・・・。」

エンディング
ゲーニッツ「驚きですね。これ程までとは・・・。神楽さん。あなたが見込んだ方々、なかなかのものでした。しかし、あなた方の手でオロチを封じようなどとは考えない事です。手を引く事をおすすめしますよ。」
神楽「封じてみせるわ。必ず・・・」
ゲーニッツ「勝ち気なお方だ・・・。いい風が来ました。そろそろ頃合いです。」
 「逃げる!?」
ゲーニッツ「いえ、召されるのです。
 ・・・天へ。」
 「皆さん、ありがとう。これであの男の幻想も潰えました。あの男を倒さなければ、人々はまた暗闇を恐れて生きていくしか方法がなかったでしょう。でも、皆さん。これですべて解決したとは思わないで下さい。暗闇で蠢く者共は、いつ、人々をその闇に包み込もうとするか分かりません。それは、近い将来、訪れるかも・・・その時には、また、お会いする事になるでしょう。では・・・」
  こうして、大会は終了した。三人の活躍によって、闇は、この地上から封殺され、人々は事なきをえた。

そして三人は歴史の1ページに名を残す事もなく、それぞれの目的を果たす為、去っていった。

だが、この闘いはほんの序章にすぎない。

真の闇がすぐそこまで忍び寄って来ている事を三人は知るよしもなかった。