日本でも有数の財閥、豪血寺。この一族の頭主には5年に一度開かれる、頭主決定格闘技大会にで優勝した者のみつくことができる。豪血寺一族の頭主、それはあらゆる富と権力を約束されることだった。1年前にひらかれた大会で優勝し頭主となったのは、前頭主お梅の妹お種だった。激闘の末、念願の頭主となったお種の最初の命令は、姉お梅の富と権力の象徴「お梅ワールド」を改造し「お種ランド」を作ることだった。
 お種ランド完成式典前夜、皆が様々な思いを胸に眠っているとき、一人の黒子の声によって静寂がやぶられた。
「た、大変です!お種さまが…」
 黒子が握り締めていた手紙にはただ一言、
「しばらく留守にします。後をよろしく」
 とのみ書かれていた。
 不安な面持ちで顔を見合わせる黒子たちの脳裏をかすめたのは、豪血寺一族の家訓だった。
豪血寺現頭主が頭主放棄の意思をみせ、1週間以内にその意思を覆さない場合その地位を放棄することができ、1週間後に再び頭主決定格闘技大会を開催することができる
 5日たってもお種からの連絡はなく、大会規定にもとづき世界中の一族に通知がだされ、各地から大会参加者が集まってきた。8人の前回の挑戦者に5人の新たな参加者が加わり、13人の血族が完成間近のお種ランドに集結した。
 1週間後ついにお種は戻らず、自動的に頭主の座を剥奪された。しかし一同は疑問を抱いたままだった。お種は自らの意思で頭主の地位を放棄したのだろうか?
 それともあの手紙はお種を誘拐した犯人の偽装工作なのか?
 謎が謎をよぶ頭主決定格闘技大会が今はじまったのだ。