用語集

朝水悠

 悠の中学校での同級生で友達。男。
 高校も同じだったが純粋に友達で、お互いに恋愛感情は無かった事は確かなようである。
 見た目は普通、性格も普通。…イヤ、少しヘンだったかもしんない。結構いい人だった。
 田村悠によれば、勘が鋭く頭もよろしいらしい。彼の成績で何故に悠と同じ学校を志望したのかは謎ですが、本人が言うには。

「それは…田村さんを…愛してるからですよ!愛…これ以上の志望動機は有り得るか」

 一体、何を考えているかさっぱりわかりません。が、恋愛感情が無いのは確かなので、この志望動機は間違いなくウソ。

エルフ

 かつてヨーロッパに居住していた種族。見た目は現在の地球人類と差は無く(耳がとがってたりしません)、寿命が長く(長くて300年程度)、成長が遅い事と魔法を行使出来る点が現在の地球人類との違い。
 この世界の成り立ちを知っており、魔王に従う。神とは何かを知っているが故に地球人類の生み出した多くの宗教は信仰対象とはならない。
 それが故に某宗教の魔女狩り…魔女裁判にて絶滅させられてしまう。
 が、異世界に逃れてわずかに生き延びていました。妹をエルフに奪われた事で独自に色々調べたが故に裏事情に詳しうなっていた朝陽の説明を。

「エルフとドワーフは人間と同じようにかつて地球で暮らしていた種族です。ドワーフは完全に滅び去りました。もしかしたらどっかで生きてるかもしれませんが、私は知りません。そもそもの居住地区がハワイだけと狭い地域の数の少ない種族でしたし…他の地に移り住んだドワーフはいるかもしれませんが、ハワイのドワーフは全滅!です。エルフは、これも以前説明した通りヨーロッパに人間と一緒にごく普通に住んでいましたが魔女狩りで表向きは絶滅。エルフという種族がいた事自体が歴史上から抹消され「魔女」「魔法使い」として名を残しているだけです。ただし、一部のエルフは逃げ出し…隠れ里(多分は異界)に移り住み、現在に至るってわけですね。隠れ里のエルフは元々からして人間の血が混ざっていて…純エルフではないです」

エルフと人間の戦争

 2001年1月辺りから始まった戦い。
 世界の管理者「魔王」に従う者として人間の存在はもう見逃してはおけないとエルフが立ち上がった事で起きた戦いで、エルフ側の配慮により異世界…夢世界で行われた。
 が、実際のところ、エルフもロクなもんではなく…エルフ側だった祐里&陽実と人間側だった朝陽&悠が共闘する場面があったり、一体誰が敵だったのやら。ちなみに朝陽&悠が参戦したのは7月。
 2001年8月1日にエルフも人間も滅ぼしてやるなどと狂った事を言い出した祐里を氷深が討ち取った事で終結。勝者すらいない戦争だったといえる。敢えて言うなら氷深が勝者ですが、彼(彼女?)はその後、結局、闇の中に沈む事になったわけで。

「どうだっていい…祐里の意思は継ぐ。人間も…そしてエルフも僕が支配する」

 ちなみに祐里がやろうとしていたのは人類絶滅ではなく、人類の救済だったようですが、ジェダだとかもそうですが、頭おかしいヤツっていうのはホント困ります。種としての救済を行う為に個を滅ぼすなんてのは認めるわけにいきません。では、参戦前の悠の希望溢れる台詞で締めくくります。実際には、絶望的な終わり方してるんですが。

「でも、逆に言えば魔王がお姉さまなら和解出来るような気もするし…ホントのとこ、ボクは人間側にも立ちたくないし、エルフ側にも立ちたくない。バカみたいだもん、種族が違うっていうだけで闘うなんて」

エルフの隠れ里

 エルフが隠れ住んでいる世界の名前。我々からみれば異世界という事になりますが、根本的には同じ世界に存在してます。
 人間から見ると夢の世界と位置を同じくしています。ちなみに森ばっかりの世界ではないらしい。私曰く「エルフつったら森だろー。森で食糧確保つったら木の実だろぉぉ」…そしたら悠に怒られました。

お姉さま

 陽実のこと。本人はこう呼ばれるのを嫌がっていましたが、悠の親愛の証。後に恐怖だの憎悪だのの感情を込めて呼ばれるようになりましたが…。

キャパシティ

 生物が持つ固有の領域の事。その個体の成長の限界。生まれつき固有のもので増減はしない。が、魔王は自分及び他者のキャパシティを自在に増減する事が可能。
 領域と呼ぶ場合は世界の領域で、キャパシティと呼ぶ場合は個の領域の事。

「人間って悲しいんだけど、成長の限界がある…それが生まれついてもった領域、キャパシティ。「才能」とは違うんだけど、そーいうものだと思ってもいいかな。つまり生まれついていきなり不公平だったりする」

ゲッシュ

 誓約。一般用語ですね。
 魔王が倒れた時に朝陽が「ゲッシュは破られ…支配者は力を失った」などと言ってますが、一体何が破られたのかはよくわかりません。意味無かったのかも。

呪文

 魔法マクロの事。本来「呪文」でもなんでもないが、世間一般にわかりやすい単語というとこれになるという事。朝陽曰く

「いわゆる呪文…あれは法則を「言葉」として圧縮したものなのだよ」

 との事だが、マクロなのだとしたら違うような気がする。圧縮したのではなく、特定のキーワードで魔の法則が魔王に送信される仕組みがあるんではないかと思われる。

神魔法

 田村悠命名。神の使う魔法という意味。ただし、神の使う力は魔法でも何でもないので、「魔法」とするのは間違い。神の能力だとか言ってると面倒でわかりにくいって事で命名された。
 魔法との違いは、その効果が「一時的局所的」ではなく、全世界において永続させる事も可能であるという点。つまり、魔法ではなく法そのもの。
 この神魔法の使い手…神以外にもいるはずなんですが、どこにいるのかどころか本当にいるのかどうかさえ謎と田村悠氏は語ってます。
 そして、その田村悠氏による簡単な神魔法の解説を転載します。

「魔法は世界を歪める。その歪みはすぐに元に戻る。つまり、魔法の効果っていうのは局所的で、しかも短時間。しかも歪みが元に戻る時に世界は揺れる。世界の寿命を縮めるかもしれない。それに対して神魔法は一時的に歪めるんじゃなくて、世界そのものを変えちゃう。世界を律する法が書物として存在してると考えた場合、魔法は薄い紙で、その紙を該当するページの該当する箇所に乗せる。ノリづけさえしないでただ乗せるだけ。だからちょっとした事でその紙はどっかに飛んでっちゃう。でも、神魔法は違う。該当する箇所を消して別の事を書いちゃう。だから、その効果は永続するし、世界全土にその効果を及ぼす事が出来る。…神魔法は魔法っていうレベルのものじゃない」

菅野忠

 悠の中学校での同級生で友達。男。人見知り体質を発揮して友達が出来ずにいた悠に声かけてくれた人。
 つうか、こいつ「忠」って名前だったのか。今回用語集作る為に検索して初めて知りました。
 悠に「お兄ちゃんの次に好きな人」とまで言わしめたが、もちろんその言葉に恋愛感情は一切無し。
 こいつは悠の事が好きだったようで、卒業式にアクション起こそうとしてたみたいなんですが、朝陽に追い払われました…可哀想に。最後の台詞が

「じゃあな、高校でまで、お兄ちゃんお兄ちゃんとか言って孤立すんなよ!」

 だったのが泣けます。ホントは他に言いたい事あったろーに。
 高校が悠と違った為、すっかり忘れ去られる事に。何か去年、電話かけてきたらしいですが、詳細は不明。個人的には朝陽だの祐里だのよりもこの菅野クンの方が悠を幸せにしてくれそうで、しかもお似合いな気が…。悠…男を見る目が無いのな。

テス

 3匹目の猫。2001年に3匹目がいるなら「テス」だと言われ、その後、いるんだかいないんだか謎と言われてましたが、2004年になってその存在が確認されました。
 2003年にフシとレキの間に生まれた子猫で、どんな能力を持っているのかは不明。つっても多分、普通に神魔法の使い手だろ、こいつが。

「フシとレキ…で、ここにはいないし、実際にいるのかどーかさえ謎のテス。全部、意味ある名前なんだよ」

ドリームファイター魔法兵器小娘悠ちゃん

 悠がかつて名乗った事のある名前。自分で小娘名乗る、自分で悠ちゃん名乗る、しかもドリームファイター。そんなに自分を捨てて何が楽しいのかっ。

能力者

 2001年に起きたエルフと人間との戦争の際に現れた人間側の特殊能力を持った者の呼称。視界に入る範囲でのみ瞬間移動可能だとかロクな能力が無く「○○を□□に変える能力」並に役に立ちそうにない代物でした。
 戦争自体が異世界で行われており、本来、持っていたであろう能力が発現しただけで、能力を手に入れたというのとは違うらしい。何か朝陽が解説してたけど、その雑記がどこにあるんだか検索出来なかった。

氷深

 「ひみ」と読む。異世界で勇者稼業をしている時の陽実の名前。「ですぅ」しゃべりをする男という極めて気持ち悪い存在。
 何故に陽実が異世界では、こうなってしまうのかは定かではない。
 雑記での登場はごくわずかで、この世界に現れる(召還される)時は性格は氷深で体は陽実となる。男の姿で「ですぅ」しゃべりをされるのもイヤだが、陽実の姿でやられるのもイヤなものがある。

フシとレキ

 朝陽と悠に飼われてる猫。フシの正体は魔王陽実らしいが、レキの正体は未だに不明。…どうでもいいが、オーフェンに出てくるドラゴンとは何の関係も無い。
 悠の使い魔かのように登場しましたが、実際には悠の方が操られていて…2匹して悠の体を乗っ取って動かしてたりもしました。
 2003年に子供を産んでいた事が判明。悠に魔王業なすりつけておいて、その間にこいつらは子作りしてたわけですか?

魔王

 世界を創造した神から、その世界の住人の代表として世界の管理を任された存在であり、世界を司る法則を一時的とはいえ、塗り替える事が出来る唯一の存在。…つまりは魔法を司る存在、魔王。
 魔王はキャパシティを自在に操る力を持ち…世界が常に異常なく運営されるわけもなく、異常が生じる事もある。世界を見渡しキャパシティを操り、異常を消し去るのがお仕事。何の得も無いな。世界のバランスを支える大事な存在。
 現在は先代魔王をぶち殺してしまった「陽実」がその地位にいるが、彼女が何代目なのかは不明。何となくまだ2代目なんじゃないかなって気がする。

魔王代理

 魔王から魔王業を託された存在。現在は「田村悠」がその地位にいる…というか田村悠が歴史上初めて魔王代理になったんではないかと思われる。
 魔王との違いは魔法を司っていない事。キャパシティを操る能力は魔王から譲渡されており、この世界のバランスを日々保っています。
 魔王の地位についたとはいえ、面倒でやってられるかーって妹におしつける魔王陽実。…当然、魔王業に就く利点など無い。
 魔王代理もこんな事やってらんないと、自らの分身を作り出し、魔王代理やらせてます。つまり、現在の魔王代理…実は魔王代理代理。そして…現在、我々が目にする田村悠はこの代理代理です。…この世界大丈夫なのか?
 土日は魔王業お休みしていたり…この世界大丈夫なのかよ、ホントに!!
 い、いや私が知らないだけできっと休日専門の魔王代理がいるんだ、きっと、うん。では、魔王代理本人による魔王と魔王代理の違いの説明を。

「魔法を司ってるのはあくまでも魔王で代理にはその能力は無い。つまり!ボクは魔法は使える。でも、直接その力を行使する事は出来ない。魔王が存在してる以上、使おうと思えば使える…はず。でも、これも前に言ったんだっけ?世界を司る法則を一時的だろーと局所的だろーと変化させちゃうなんてのは世界のバランスを壊して、世界の寿命を縮めるだけ。魔王が直接、世界を管理してるならバランス調整も出来るんだろーけど、ボクには無理です」

マクロ化

 魔法等の発動を特定のキーワードで簡単に実行させる手段。
 主に「言葉」の短縮の為に使われるが、趣味で使われる事もある。
 フシとレキの力を解放する「レキィシヘン、フシィデービー」というわざわざマクロ化する必要さえ感じさせない言葉を「悠ちゃん最大パワー」という言葉で発動可能にした実績が悠にはあります。最悪のセンスです。

魔法

 魔の法則。簡単に言うと、この世界の法則を一時的局所的に書き換える事。書き換える力を持つのは魔王のみ。
 法則を魔王に送信する事で、魔法が実現する。魔王の力を借りているのではなく、魔王はあくまでも法則にアクセスする為の扉でしかない事に注意。
 法則は音でも文字でも何でもOK。要は「法則」が伝わればいいのである。
 ただし、漠然と「炎を出したい」などとするのは法則ではなく、この世界の法則をねじまげて、目の前に炎を出すにはどのような法則を作る必要があるのかを考える必要がある為、新たな魔法の開発というのは常人に出来るものではなく、遥か昔から伝わる法則を意味もわからずに使うのが普通。
 魔法のスペシャリストだった田村悠氏の「魔法で水をお湯に変える方法」を転載しておきます。それで何となく漠然とですが、魔法が理解出来るかも。

「熱は常に高い方から低い方に流れるとは限らない。魔法でやると周囲の物質なり、隣合わせの世界なりから熱を貰う…熱を奪われた物質は絶対零度になる」

 これに対して常人の祐里は「もし周囲の空気から熱を奪うと、絶対零度の空間にお湯っていう無茶な状態になるんですか?一瞬で凍りませんか?」とツッコミ入れてますが、あくまでも魔法の例としてあげただけで、「熱は高い方から低い方に流れる」というのが法則なら、魔法はその法則を自分の目の前の狭い空間でのみ「全ての熱は水に流れる」みたいにしてしまうという感じ。当然、こんな単純なものではないはずですが。っていうか、実際にこんな方法で水を沸騰させるバカな魔法を作るヤツはいないと思う。周囲からではなく、それこそ重なり合った別の世界からですかね?

魔法カード

 魔法則が組み込まれたカード。魔王に法則を送信する為の魔力もカードに込められているので、手にもって特定のキーワードを口にするだけで魔法が使えるという代物。基本的に使い捨て。マクロ化されているので、魔力を持つ者が自分の魔力を使ってその魔法を使うという事は出来ません。…いや、不可能じゃないだろうけど、そんな事出来る人ならそもそもがそんなカード無しでその魔法使えるんじゃないですかねぇ?
 作ったのは高校生の頃の田村悠。魔法の仕組みを聞いて…それであっさり作っちゃいました。アイデア自体は田村悠本人が言うにはダイの大冒険の魔弾銃。とはいえ、作ろうと思って作れる代物ではなく、田村悠が魔法の天才だと思い知りました。

「このカードね…法則を埋め込んであって…魔力を込めておけば、誰でも魔法が使えるという」

魔法兵器

 陽実のこと。無数の魔法が登録されており、魔力を持つ者は陽実を介することで様々な魔法を使う事が可能。魔法は複雑な為、とても覚えておけるものでもなく、法則を記した媒体を持つには数に限界がある。そこで利用されたのが魔法兵器。
 エルフ族が自在に魔法を使う為に生み出された子供…それが魔法兵器。説明面倒なんで、今回も田村悠の言葉を。

「魔法兵器っていうのはそういう魔法で作られた兵器の事じゃなくて、ボクとおねーさまの別称っていうか、称号。基本的にエルフの人達はみんな魔法を使える、けど…効果ある魔法を使うにはそれだけ覚えないといけない事が多くなる。つまりは魔の法則を覚えないといけない。それか魔法カードみたいに法則を埋め込んだ何かを身につけないといけない。…はっきりいって非効率的。だから、エルフ達全員がたくさんの魔法を使える為に存在してたのが、おねーさま。人間離れしたっていうか人間じゃないんだけど…常人とかけ離れた領域を持って生まれたおねーさま。その領域に大量の魔法を埋め込まれて…で、エルフ達は自由にそれにアクセス可能。つまり…エルフ達が魔法を使う為には、まず魔法兵器である「魔王の娘」にアクセスする。この魔王の娘を中継点にして、更にそこから魔王様にアクセス。で、魔王様の力で魔法の上乗せがされて、魔法が発動する。おねーさまの分身であるボクにもとーぜん、魔法は埋め込まれてる。結構ハンパになんだけど。で、ボクも魔法兵器には違いない…けど、魔法とボクの精神とが混ざり合って1つになってるから、魔法にだけアクセスするとか出来なくなってる。だから誰もボクを利用する事なんて出来ない。ボクだけが利用出来る」

幽霊

 キャパシティを失ったのに存在が消滅してない未練がましい連中。他者のキャパシティを借りて像を現す。
 こーいうのを処理するのも魔王の仕事だと思うんだが、数が多すぎて対処する気さえ無いのかもしれない。この世界のシステムに欠陥がある証拠となる存在。

リリース

 フシとレキの変身を解く為のキーワード。フシとレキは力を解放した者に取り憑くので、ここでいう「リリース」とは…フシとレキから解放されるという意味。

領域

 世界の限界。説明は非常に面倒ですが、同じ領域に存在しているのであれば、それは対外的に同じ世界という事になるという。まともに説明するの面倒なので、私が悠から聞いた時のものをの転載します。

 今日は領域について。この世界は領域で成り立ってるです。無限にも思える世界だけど、とーぜん有限。わかりやすく数字にすると、この世界が1兆の領域持ってたとして、そこに宇宙を割り当てていく。この宇宙がもし3000億の領域を持っているなら、残りは7000億。それはボク達が見る事は出来ない別の宇宙に割り当てられてるかもしれないし、7000億全部残ってるかもしれない。仏教的に言えば三千世界ってとこかな?
「実際のとこは別の宇宙あるんですよね、この世界」
 あるよ。でも魔法使いでない人にはあんまし関係ない。で、この宇宙が3000億だとして、そこに各個体が領域を借りて生まれてくる。領域は生まれつきのもので、増える事も減る事もない。
「そして、領域は器。肉体が器なんじゃなくて、領域が器。肉体を持つ為にも領域を必要とする」
 結構前に説明した事だよね、この辺りは。領域には肉体も精神も両方含まれてる。この領域が人間の能力の限界で、領域が大きければ器が大きいって事で潜在能力は高いって事になる。個々の領域には「個」が投影される。その領域で個が再生される。その領域はこの宇宙、この世界では物理的に存在してて、内面的なものじゃないっていうのが大事なとこ。
「魔法の理屈としてキャパシティだの精神だの領域だの出てきますけど、あれは内面のもの。個人個人のウチにあるもので外に出るものじゃない」
 でも、ここでいう領域っていうのは…んー、領海みたいな感じかな。国があって、その周りの海がある。国土の外にある海だけど、それはその国の領域。それと同じで、領域は肉体の周囲に広がってる。実際のとこは領域の中心に肉体が形づくられてるだけで、肉体の周囲に領域があるわけじゃないんだけど。
「空間とは別の概念だけど、物理的に存在してる。当然、他者の領域と重なりあったりもする。でも、それは混ざる事は無い」
 領域は個の全てが含まれる。でも、その領域全てを使ってるとは限らなくて余ってるかもしれない。もし、余ってたりすると、そこに他者が入り込む事が出来ちゃう。死を迎えて領域を世界に返しちゃったはずなのに存在が消えないっていう現象が時々ある。この場合、その存在は自由に行動する事は出来ない。その場に縛られてる。でも、その場に領域が余ってる存在が近付くと、その領域を借りて像を現す事が出来る。これがいわゆる幽霊、ゴースト。
「でも、その像が見えるのはその領域の保有者のみ。かつて悠さんが精神体となった時に、兄ちゃんにしかその姿が見えなかったのはそういう事」
 幽霊って「多人数」で同時に見える事もあるんじゃない?とかって疑問あるかもしれないけど…それはその精神体…霊の根性次第。
「よくわからないっすね。人間が平均して8ぐらいの領域を必要として、持ってる領域が10とすると、朝陽兄ちゃんは15の領域が無いと存在出来ない…そして持っている領域は50。この場合、35もの領域が余ってる。悠さんは100無いと存在出来ないっていうやたらと重い存在」
 重い言うな。しかも適当な数字を。
「実際のとこわからないんで。で、消滅…この時、朝陽兄ちゃんの35の領域を借りて肉体と魔法の一部を一時的に保管して、一部だけをこの世界に存在させた。結果、ちっちゃな精神体と成り果てたわけですが、記憶の一部と引き換えに肉体を持つ事も出来る…ようは個を全部まとめてこの世界に投影させるんじゃなくて、その時必要な部分だけを投影させる。たとえ記憶を消しても、完全に消えるわけじゃなくて、一時的に失ってるだけで元に戻す事も出来る。根性っていうか、この世界での在り方を変化させるだけ」
 この世界に像を現す事だけを考えれば思考能力とか色々と引き換えに誰の眼にも見えるような存在にもなれる。
「本体っていうのは全く別の場所にあって、領域はあくまでも器。そういう世界です」
 説明不十分!でも、もう面倒だしこれでいいです、今日は。
「ちなみにさっきの人間の平均が10とした場合、魔法兵器なおねーさまは?」
 シャーマンキングじゃないんだから、そんなムチャな数字はやめて下さいとか言われちゃうなー。…いや、もうハンパじゃないです、あの人。迷惑っていえるぐらいに1人で領域思いっきり占有しちゃってます。