ライム

声優:林原 めぐみ
個人データ
名前LIME

ボク、ライム バカだけど主人公だよ

 女性が失われ、クローニングにより繁栄する男だけの惑星テラツー。
 そのテラツーにおいて女性の代替として創造された女性型アンドロイドである「マリオネット」。そしてマリオネットに心を与える「乙女回路」。
 ライムは乙女回路を内臓した少女型アンドロイド…セイバーマリオネットである。

 男だけの惑星テラツーに女性が復活して既に200年。マリオネットは…乙女回路は…未だ存在していた。
 現在のテラツーにおいて「乙女回路内臓マリオネット」、そして「ライム」の名は特別の意味を持つ。
 200年前、女性復活の要となった乙女回路を持った3体のマリオネット。その名は「ライム」「チェリー」「ブラッドベリー」
 そう、今回紹介するライムは、女性復活を果たした伝説のマリオネット「ライム」の名を受け継いだ期待のマリオネットなのである!…バカだけど。
 なお、先代のライムの事を知りたくば、富士見ファンタジア文庫「SMガールズ セイバーマリオネットJ」全12巻 もしくはアニメ「セイバーマリオネットJ」「またまたセイバーマリオネットJ」「セイバーマリオネットJtoX」を見よ。

 野望を持つ男スターフェイスの手により蘇った乙女回路。そして創造された乙女回路を持つ6体のマリオネット。
 6体の内3体、伝説のマリオネットの名を受け継いだ「ブラッドベリー」「チェリー」そして「ライム」はスターフェイスの弟ジュニアに託される事となり…そしてよーやく物語は始まるのであるッ。

 ライムは最後に創造された6体目のマリオネットであり、その性能はともかくとして、心はまだ子供そのもの。そう…まだ子供…。こんな事があった。巻き込まれた料理勝負。ライムの電子頭脳にはまだ知識は少ない為、主人を同じくする仲間…つまりチェリー、ブラッドベリーの知識に頼る事となった。

チェリー   「牛ヒレの塊を準備して!」
ライム    「ほえ?」
ブラッドベリー「ほえ?じゃなくて牛だよ牛!」

 さて、諸君。この後、ライムが何をしたのかおそらくは想像出来ているであろう。「牛」などと言えば、知識の少ないライムが何を持ってきたのか。牛ヒレなどもってくるわけがないことを、生きた牛を持ってくるに違いないことを。そう、お約束というやつだ…ライムが持ってきたもの、それは…………

 そうだ、その通り。諸君の思っている通りだ。ライムは我々の予想を裏切る程にバカなのである。
 だが、それを補って余りある純粋さをライムは持ち合わせている。それは経験の少なさ、知識の少なさからのみ来ているわけではなく、ライムの特性と言っていい。
 マリオネットは主人に忠実であり従順。乙女回路を持つマリオネットでもそれは変わらない。にも関わらず、ライムは主人であるジュニアを呼び捨てにする。本来であれば「マスター」もしくは「様づけ」が必要となるにも関わらずである。これはライムがまだ子供だから…バカだからなのか、答えは否!
 ライムにもジュニアをジュニア様と呼んでいた時期は存在している。
 礼儀を知らないわけではない。ライムにとってジュニアは誰よりも大切でそして大好きな人。だから「様」はつけない。多くは無い知識、それも自覚している。だからこそ学んだ知識。「好きな人の呼び方」。

ボクってまだ創られて少ししか経ってないセイバーマリオネットだから人を「好き!」になる事が良くわかんなくっていっぱい勉強したんだ。その中で一番のお気に入りをジュニア様にお願いしたいんだ

 ボクがジュニア様を呼ぶ時、「様」取るの。だって街の人達って好きな人呼ぶのに「様」なんてつけないんだもん!だからボクもそれやりたい!!

 ライムの純粋さがわかるエピソード。ただし、これはアニメ版の前エピソードとなるラジオドラマ版での話。小説版では「様」をつけない理由が異なり、ただ単に礼儀を知らないおバカさんだからという事になってしまっています。ライム曰く

ジュニアがジュニア様なら、ライムはライム様〜〜

 まー、どちらの理由がいいかは、各人の判断に任せるが、私はラジオドラマ版を選びます。
 とりあえずライムは純粋なのであるッ。ジュニア、そしてチェリーもブラッドベリーも好き。好きな人達が喜んでくれれば自分も嬉しい、好きな人達が傷つけられるのはイヤ。
 小説版1巻、アニメ版1話冒頭でのセイバーマリオネットによる格闘大会参加。ライムにとっては勝利する事が嬉しいのではなく、勝利した事によりジュニアやチェリーが喜んでくれるであろう事が嬉しいのである。…たまらなく健気というか可愛らしいです。
 だからこそ「対戦相手を破壊」してしまった事で「怒られた」事が何よりも悲しい。大好きなジュニアの為に頑張って優勝した…絶対に喜んでくれるはず。それなのに。

ボク頑張ったのにジュニアもチェリーも喜んでくれないんだもん こんなのいらない

 泣き顔(右上画像参照)で優勝カップを投げ捨てるライム。視聴者は100%ライムの味方ですよぉぉ。もう、こんなの見たらジュニアでなくてもライム可愛くて可愛くてたまらないじゃないですか。ライムいじめるチェリーは敵ですよ、敵!!
 しかァし、これ程の名場面が小説版には無ぁい!無い、無い、無いのだ。対戦相手を破壊する事はなく、普通に優勝して、そしてジュニアに誉められて終わり。何だ、それはーーーーーーーーーー。
 ……いや、落ち着こう。つまり、ライムは自分以上に、好きな人の喜びや悲しみ、苦しみに敏感なのである。だからこそ、ライムといったらこの台詞!という…

ジュニアをいじめるなぁぁぁ

ジュニアはボクが守る

 2大台詞が成立する。もちろん、アニメ版第1話時点では自分自身がまだ「痛み」を知らない(最新のセイバーマリオネットですから、ライムより強い存在なんてそうそういませんし)からこその「強気」というのはあるんですが、「痛み」と「恐怖」を知った後でのこの台詞には大きな意味があります。
 まあ、それはそれとして、ジュニアを助ける為に戦い、初めて知った自分より強い存在、自分に痛みを与える存在に怯え、涙を流し

ジュニア助けて 怖いよぅ

 と、護る存在だったジュニアに救いを求める場面は、ライムがいかにジュニアに依存し、ジュニアを信頼してるのかがわかるのと同時に、ライムはどんなに戦闘能力が高いとはいえ、それは「機械」としての性能」であり、「心を持った存在」としてはまだ弱い子供である事を知り、視聴者をまたもやライムに惹きつける事になるシーンである。まー、小説版には無いんだけどね、これも。あっさりやられて、ジュニアがいたぶられてキレるだけで。いや、アニメでもこの後、キレちゃうわけですけど、その前に「弱さ」を見せるのが大事なんですよぉぉ。何としてもライムは護ってあげないといけないと視聴者に思わせないと。いや、視聴者は何にも出来ないんですけど。
 えー、一応補足ですが、ライムはジュニアの為だけに動くわけではないです、もちろん。生まれたばかりの自分がチェリー、ブラッドベリーの足を引っ張っている事を痛感して、「無理すると死ぬ」と言われたにも関わらず、突撃したり、とっても健気です。

ボ、ボクの…せいなんだね ボクが…強ければあいつらと戦えるんだ
大丈夫、ボクならまだ闘えるよ 来いっ、ボクが相手だ

ボクの事なら心配ないよ ボク、みんなが好きだから みんなが好きだから大丈夫 ボクは負けないモン

 こんな、いい子を悲しませちゃダメです、絶対に。小説第2巻ではジュニアが結婚する事になり「結婚」が何かよくわかってないライムはチェリー、ブラッドベリーと比べて、その事でショックは受けてませんでしたが、たとえ、ジュニアが結婚する事となっても、ライムはジュニアの側にいてそして笑ってあげないといけないのです。ジュニアにはライムとの大事な約束があるのだから。かつて起動停止し、メモリーが消える前に交わしたライム本人も覚えていない約束が……。

ボクも眠くなってきちゃった。ずっとソバに……いてくれる?
目が覚めたら横にいてくれる?もしもジュニアの事、ボクが忘れちゃっても優しくしてくれる?

 メモリーの消去はマリオネットにとっての死。メモリーのバックアップにより、復活は可能とはいえ、メモリーが消えたその時の「ライム」はもういない。今、いるのは最後のバックアップまでの過去の記憶を共有した別の「ライム」である。それでも、「ライム」と交わした約束は護られなければいけない。消えた「ライム」の為にも。
 私のライム紹介は以上です!!ちなみに「ジュニア」の本来の表記は「Jr」ですが、わかりにくいという事で小説版同様「ジュニア」とさせて頂きました。
 蛇足ですが、テラツー史では先代、現実世界では後輩となるセイバーJのライムとの共演は、セイバーJドラマCDの第3巻にて果たされています。竜宮城から帰ってみれば、そこは200年後のロマーナだとか、アホな話で。

「ジュニア、だーーーーーーーーーーーい、スキーーーーーーーーーーーーーッ!」

出展
OVA:SMガールズ セイバーマリオネットR 全3話
 (C)1995あかほりさとる・ねぎしひろし/BANDAIVISUAL・MOVIC

ラジオドラマ:SMガールズ セイバーマリオネットR 全12話
 (C)あかほりさとる・ねぎしひろし/BANDAIVISUAL・MOVIC

小説:富士見ファンタジア文庫 SMガールズ セイバーマリオネットR(富士見書房) 全2巻
 著:長谷川勝己 原案:あかほりさとる&ねぎしひろし